2015-2016年度 近藤ゼミ

Sociolinguistics & Pragmatics
(社会言語学・語用論)
社会のなかの言語使用に関する研究

近藤佐智子 研究室:4208

 〔概要〕

私たちは、住んでいる地域、文化、年齢、ジェンダー、職業といった様々な社会的要因によって、異なる話し方をします。また、場面や相手によって巧みに話し方を変えるということも日常的に行っているのです。このゼミでは、このような社会と言語のダイナミックな関係を社会言語学および語用論の観点から研究します。研究対象とする言語は主に英語と日本語です。


社会言語学とは 
(1) 国家、地域、民族、社会階級、性別、年代などの属性によってことなる特徴のある言語を話しますが、これを社会言語学では言語のバリエーションと呼びます。このような社会的グループと言語の関係を、音声、単語、文法、談話などの観点から研究します。

(2) また、私たちは会話の参加者、状況、話題などによって、異なる特徴のある言語を話します。例えば、親、友達、教師、に話すときには、相手にふさわしい言葉づかいをしますし、同じ友達に対してでも昼食を食べながら噂話をするときと、教室でのグループディスカッションをする時では異なるスタイルの話し方をします。このような刻々と変化する状況に合わせたダイナミックな言葉の使用についても研究します。

(3) その他、国の言語政策や言語教育政策についての研究、言語に対する態度や意識の研究、メディアの発する言語に表わされている差別的言語使用を批判的に分析するといった研究も含まれます。


語用論とは
(1) ことばの表面的意味ではなく、その背後にある話し手の意図に関する研究です。その意図を聞き手が理解するにはコンテキスト(誰に対して話しているのか、どのような状況か、どのような場所かなど)が重要です。例えば真夏にエアコンのよく効いた部屋で「寒いね」と言った場合、その意図は「エアコンの温度設定を上げてください」という「依頼」であることがあります。

(2) 依頼、断り、謝罪といった行為をことばを使ってどのように行っているのか、文化によってその行い方に違いがあるのかといったことを研究します。文化によって相手に失礼にならないような言葉上の配慮の仕方が異なる場合、思わぬ誤解につながることもあるのです。

研究テーマ (例)

地域による言語の違い 言語と社会階級 人種・民族による言語差 言語の性差 言語の年齢差 言語の状況差・適切さ ことばによる丁寧表現 言語変化 会話分析 含意と文化 言語に対する態度 言語習得 言語教育 非言語伝達など

〔進め方〕

プレゼミナール(2015年度秋学期) 

プレゼミでは社会言語学の基礎知識をつけるために日本語で書かれた本を読み、その後英語の文献を読む練習をします。授業は学生の発表とディスカッション形式で進めます。

【テキスト

『社会言語学入門-生きた言葉のおもしろさにせまる』東照二(著)研究社出版
『社会言語学への招待』田中春美、田中幸子(編著)ミネルヴァ書房


ゼミI (2016年度春学期)

ゼミでは社会言語学と語用論でこれまでに構築されてきた理論,研究方法,研究結果について英語で書かれた文献を読み概観し、具体的な事象に照らし合わせて先行研究の妥当性についてディスカッションを行います。学期の最後には各自が研究テーマを決定し、そのテーマについて文献研究を行い、先行研究をレポートにまとめます。授業は学生の発表とディスカッションを中心に進めます。

【テキスト】Janet Holmes. An Introduction to Sociolinguistics.  Fourth Edition (Routledge). 

【文献研究に役立つサイト

上智大学蔵書検索 OPAC
論文検索   ざっさくプラス   CiNii Articles 日本の論文をさがす

夏合宿

@上智軽井沢セミナーハウス 予定

夏合宿では選んだテーマの先行研究をまとめたものと、研究計画を発表します。この合宿はゼミ生の懇親も兼ねます。夏休みには、研究計画に沿ってアンケート調査、フィールドワーク、会話の録音などの手法で実際にデータを収集します。

ゼミII (2016年度秋学期)

秋学期はそれぞれの研究を進めていきます。12月にはパワーポイントを使って研究結果を順次発表し、学期末に「ゼミ論文」の形で提出します。授業は段階を追って確実にリサーチスキルと表現力が付くように進めていきます。

【テキスト 田中典子『はじめての論文: 語用論的な視点で調査・研究する』(春風社)

*「近藤ゼミ論文集」(8年分)は上智大学短期大学部図書館「近藤ゼミリザーブブック」にあります。図書館のカウンターで問い合わせてください。
 2014年度論文集目次 2012年度論文集目次    2011年度論文集目次

〔将来どのように役立つか〕

国内外の大学に編入して言語学、異文化間コミュニケーション、社会学などを学びたいと思っている人、英語や日本語の教師、通訳や翻訳といった、言語と密接な関係がある職業に就くことを考えている人にとっては、このゼミで学んだ専門的内容を直接生かすことができるでしょう。

また、「読む」「調べる」「考える」「まとめる」「発表する」というリサーチスキルは、将来何をするにしても役立つでしょう。春学期は毎週 20ページほどの英語の文献を読んで全員がレジメを作成しますから、英語を読む力が伸びます。また、文献探し、データ収集、レポート作成、パワーポイントを使用しての発表などを行いますので、企業に勤めても、編入しても、その経験を役立てることができるでしょう。

〔学生へのメッセージ〕

近藤ゼミでは実際の会話、テレビや映画の中の会話、新聞、漫画、などに使用されていることば、英語や日本語の学習者のことばを分析したり、言語に対する意識を調査したり、と生の言語データを分析し研究をしています。ことばのおもしろさをゼミ生皆で味わい楽しみましょう。また、研究を完成させるまでには多大な努力が必要ですから、チャレンジ精神を持つ方を大歓迎します。

また、ゼミメンバー同士の親交を深めるために、合宿、先輩ゼミ生との進路相談会、親睦会などの機会を持ちます。お互いのことをよく知り、意見を交換し、助け合うことによって、より良い進路の選択につながることを願っています。

〔ゼミ生の主な進路先〕

就職 トヨタ自動車、いすゞ自動車、ソニー、富士通、富士通ISサービス、セイコーエプソン、横浜銀行、日本精工、日清食品、HIS、丸井グループ、東急イン、横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ、JALウェイズ、ANAエアサービス東京、ニューオータニ、ヒロセ電機、川崎信用金庫、城南信用金庫 など

編入 上智大学 (英語学科、英文学科、社会学科、史学科、教育学科、神学部、心理学科、社会福祉学科)、東京外国語大学外国語学部英語専攻、明治大学国際日本学部、東京女子大学現代教養学部人間科学科言語科学専攻、富山大学人文学部人文学科、法政大学社会学部メディア社会学科、法政大学キャリアデザイン学部キャリアデザイン学科、中央大学経済学部公共・環境経済学科、日本女子大学人間社会学部文化学科、南山大学外国語学部英米学科、関西学院大学総合政策学部国際政策学科、同志社女子大学英語英文学科、聖心女子大学文学部心理学科、清泉女子大学(英語英文学科、地球市民学科)獨協大学外国語学部英語学科、津田塾大学英文学科、明治学院大学社会学部社会福祉学科など

〔参考文献〕

社会言語学

東祥照二(著) 『社会言語学入門-生きた言葉のおもしろさにせまる』 研究社出版

田中春美、田中幸子(編著) 『社会言語学への招待』 ミネルヴァ書房

南雅彦(著) 『言語と文化-言語学から読み解くことばのバリエーション』 くろしお出版

Wardhaugh, Ronald. (著) Introduction to Sociolinguistics. (Blackwell Textbooks in Linguistics) Blackwell Pub.
[訳本] ロナウド・ウォードハウ(著)田部滋、本名信行(監訳)『社会言語学入門』上・下(リーベル出版)

中尾俊夫、日比谷潤子、服部範子(著)『社会言語学概論:日本語と英語の例で学ぶ社会言語学』くろしお出版

日比谷潤子(編著) 『はじめて学ぶ社会言語学:ことばのバリエーションを考える⑭章』 ミネルヴァ書房

ダニエル・ロング、中井精一、宮治弘明(編)『応用社会言語学を学ぶ人のために』 世界思想社

真田信治、ダニエル・ロング(編)『社会言語学図集』 秋山書店

真田信治(編)『社会言語学の展望』 くろしお出版

南雅彦(著) 『言語と文化:言語学から読み解くことばのバリエーション』 くろしお出版

岡本真一郎(著) 『ことばの社会心理学』 ナカニシヤ出版

岩田祐子、重光由加、村田泰美(著)『概説 社会言語学』 ひつじ書房

Fasold,Ralph. (著) Sociolinguistics of Language. Blackwell


語用論

ヘレン スペンサー=オーティー (著), 田中 典子, 鶴田 庸子, 福島 佐江子, 津留崎 毅, 熊野 真理 (翻訳), 浅羽 亮一(監修) 『異文化理解の語用論―理論と実践』 研究社

Thomas, Jenny.(著) Meaning in Interaction: An Introduction to Pragmatics (Learning About Language) Addison-Wesley
[訳本] ジェニー・トマス(著)浅羽亮一(監修)『語用論入門:話し手と聞き手の相互交渉が生み出す意味』研究社

Levinson, Stephen C. (著) Pragmatics (Cambridge Textbooks in Linguistics) Cambridge Univ Press
[訳本]Levinson, Stephen C. (著)安井 稔 (翻訳), 奥田 夏子 (翻訳)『 英語語用論』研究社出版

Mey, Jacob (著) Pragmatics: An Introduction. Blackwell Pub
[訳本] ヤコブ L.メイ (著) 沢田 治美, 高司 正夫(翻訳)『ことばは世界とどうかかわるか―語用論入門』 言語学翻訳叢書 (第2巻) ひつじ書房

Leech, Geoffrey N. (著) Principles of Pragmatics (Longman Linguistics Library) Addison-Wesley
[訳本]ジェフリー・N. リーチ (著) 池上 嘉彦 (翻訳), 河上 誓作 (翻訳)『語用論』 紀伊国屋書店

井出祥子(著) 『わきまえの語用論』 大修館書店

高原脩、林宅男、林礼子(著)『プラグマティックスの展開』 勁草書房

岡本真一郎(著) 『ことばのコミュニケーション:対人関係のレトリック』 ナカニシヤ出版

ヤコブ・L・メイ(著)小山亘(訳) 『批判的社会語用論入門:社会と文化の言語』 三元社

町田健(編)加藤重広(著) 『日本語語用論のしくみ』

ヤコブ・L・メイ(著)小山亘(訳) 『批判的社会語用論入門-社会と文化の言語』 三元社



言語の性差

中村桃子(著)『ことばとジェンダー』 勁草書房

Lakoff, Robin Tolmach (著) Language and Women's Place (Studies in Language and Gender (Paperback) Oxford Univ Press
[訳本] ロビン・レイコフ (著), かつえ・あきば・れいのるず(翻訳)『言語と性―英語における女の地位』有信堂高文社


ことばと丁寧さ


堀素子ほか 『ポライトネスと英語教育』 ひつじ書房

Brown, Penelope (著) Politeness: Some Universals in Language Usage (Studies in Interactional Sociolinguistics, 4) Cambridge Univ Press

国立国語研究所 『言語行動における「配慮」の諸相』 くろしお出版

大杉邦三(著)『英語の敬意表現』大修館

鶴田 庸子, ポール ロシター, ティム クルトン (著) 『英語のソーシャルスキル』 大修館書店


社会言語学/語用論と外国語教育/第2言語習得

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清水崇文(著) 『中間言語語用論概論:第二言語学習者の語用論的能力の使用・習得・教育』 スリーエーネットワーク

近藤佐智子 (2009) 「中間言語語用論と英語教育」『上智短期大学紀要第29号』, 73-89. (上智短大ホームペー
ジから入手可
)

Sandra McKay (著), Nancy H. Hornberger (著) Sociolinguistics and Language Teaching (Cambridge Applied Linguistics) Cambridge Univ Press

Kenneth R. Rose (著), Gabriele Kasper (著) Pragmatics in Language Teaching (Cambridge Applied Linguistics) Cambridge Univ Press

Sachiko Kondo (著)2003年 “Teaching Refusals in an EFL Setting.” e-book こちらで読めます
In Bardovi-Harlig, K., B. S. Hartford, and R. Mahan-Taylor (Eds.) Teaching Pragmatics. Office of English Language Programs, US Department of State.

談話分析・会話分析

橋内 武(著) 『ディスコース:談話の織りなす世界』 くろしお出版

泉子・K・メイナード (著)  『談話分析の可能性―理論・方法・日本語の表現性』 くろしお出版

泉子・K・メイナード (著)  『会話分析 (日英語対照研究シリーズ (2)』 くろしお出版

津田 早苗 (著) 『談話分析と文化比較』 リーベル出版

津田 早苗 (著) 『談話分析とコミュニケーション』 リーベル出版

好井 裕明, 西阪 仰, 山田 富秋 (編集) 『会話分析への招待』 世界思想社

研究計画のヒントとなる文献

飯野公一、恩村由香子、杉田洋、森吉直子(著) 『新世代の言語学:社会・文化・人をつなぐもの』 くろしお出版

J.V. ネウストプニー、宮崎里司(共編著) 『言語研究の方法』 2002年、くろしお出版